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スティグマについて

スティグマを根絶するために

精神疾患の最大の障壁の一つが、精神疾患にかかわるスティグマ(偏見・差別)です。精神疾患に対するスティグマは世界共通の課題であり、文化や状況を問わず全世界に存在しています。
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世界全体で8人に1人が精神疾患を抱えています1

4.6%

世界全体で、メンタルヘルスに着目した健康調査は全体の4.6%です2

2%

保健予算のうちメンタルヘルスに充てられているのは全体の平均2%です3

精神疾患の有病率が高い状況であるにもかかわらず、社会には広範囲に及ぶスティグマを生むような誤解や間違った情報が数多く存在します。

精神疾患を抱える人たちは、家族や隣人、さらには医療従事者からのスティグマを経験することがあります。なかにはネガティブなメッセージや固定観念を内面化し、それを自分自身に当てはめる例もあります。これは「セルフスティグマ」と言われます。4

 

スティグマは、社会的孤立や差別を招き、生計を立てることや質の高いケアを受けたりする能力や、コミュニティの一員となったり精神疾患を治したりする能力に影響を及ぼします。1

Lancetが実施した研究では、回答者の80%が、精神疾患そのものによる影響よりもスティグマや差別のほうが深刻である可能性があることに強く同意しました。4

精神疾患を抱える人たちの多くが、差別を受けるリスクを冒すよりも、病を一人で乗り越えることを選択します。

 

スティグマや差別を示す態度や行動は、最終的に精神疾患を抱える人にマイナスの影響を与え、病からの回復を阻むことがあります。スティグマを減らす取り組みを進めていく第一段階となるのが、パブリック・スティグマの理解です。

パブリック・スティグマ(社会における偏見・差別)の理解

 

ここでは、パブリック・スティグマを、「特定のコミュニティや社会の人たちによる精神疾患を抱える人たちに対する見方や行動」4と定義します。

 

パブリック・スティグマを理解するためには、関連する3要素「知識、態度、行動」を考えましょう。

 

知識は、通常、精神疾患に関する詳しい知識が社会には不足している一方で、誤った情報によって誤った知識が生み出されている可能性が問題となります。4

 

態度は、精神疾患を抱える人に対してマイナスの感情を示すような反応が問題となります。4

 

行動は、精神疾患を抱える人を差別することによって拒絶したり社会的に排除したりすることが問題となります。実際に差別を受ける状況だけでなく、差別を受けるであろうと予測できるような状況のもとでも、精神疾患を抱える人を傷つけることがあります。4

 

このような否定的な態度や差別的な行動が、精神疾患の有病率や病気の過程、病因にまつわる誤解を生み出し、増幅させます。誤解には、精神疾患をもつ人は危険だとか無能だとかいう考えや、治療できない病であるという考えなどが挙げられます。

スティグマや差別による影響

 

精神疾患にかかわるスティグマには多くの側面があり、数多くの影響をもたらしますが、軽視されることも少なくありません。

 

「The Lancet Commission on Ending Stigma and Discrimination in Mental Health (2022)」では、スティグマによる影響を4領域(「個人的な影響」、「構造的な影響」、「保健医療や社会的ケアにおける影響」、「社会的および経済的な影響」)に分けています。世界全体で見ても、一般に精神疾患を抱える人たちは、少なくとも以下の制約のうちいくつかを経験しています。5

個人的な影響
  • 社会的孤立や孤独感
  • セルフスティグマ
  • QOL(生活の質)の低下
保健医療や社会的ケアにおける影響
  • 保健医療へのアクセスが不十分
  • 回復の遅れ
構造的な影響
  • 法律上の規定
  • 人権
  • 心理社会的な介入の実施
社会的および経済的な影響
  • 仕事
  • 選挙権
  • 財産所有権

スティグマへの対応

 

精神疾患にかかわるスティグマは、疾患啓発活動を通して減らしていくことができます。

1

研究によると、スティグマを減らすための最善の方法の一つは、精神疾患を抱える人を知ることやそのような人と交わりを持つことです。6 スティグマへの対応に関する研究のレビュー(2016年)では、スティグマや差別を減らすための取り組みは個人レベルでも社会レベルでも効果的であることが結論付けられています。7

2

精神疾患やそれにかかわるスティグマの影響を理解するには、実際にそれを経験した人たちの言葉に積極的に耳を傾けることが重要です。そのほか、スティグマに対するアプローチ、なかでも実際に精神疾患を経験した人たちが、人々の態度や行動を変えていくような活動を社会の中で進めていくことで、コミュニティに存在するスティグマや差別を減らすことができます。8

3

メンタルヘルスに対する世間一般の認識を向上させることでも、スティグマを減らすことはできます。世界メンタルヘルスデーや世界脳週間などの世界的な啓発活動は、常日頃から精神疾患に関する会話をするような状況を作り出すことを推進し、誤解や偏見を減らす良い機会です。

「メンタルヘルス関連の疾病を抱えて生きることがどういうことなのか、私たちは少なくとも理論的なレベルでは理解しています。ただ、いまだにスティグマはかなり多く存在し、それについて語ることは多くの人にとって難しいことです。スティグマについて話すよう人に強制したくはないけれど、それでも、自分自身でスティグマを認識しなかったり、仲間に認識させなかったりすることで、必要な助けやサポートを受けられなくなっている人もいます。」 Tomasz Urbanek、強迫症(強迫性障害)とうつ病を抱えている患者さん

スティグマを生み出すような言葉を使わないことの重要性

スティグマを生み出すような言葉は、精神疾患を抱える人たちの治療の障壁となります。

 

スティグマを生み出すような言葉は、精神疾患を抱える人たちに向けた否定的な態度や行動を生み、増幅します。有害な会話を改善するための第一歩は、精神疾患を抱える人たちと率直かつ丁寧に話をすることです。

 

「The Lancet Commission on Ending Stigma and Discrimination in Mental Health」では、精神疾患を抱える人と会話したりそのことについて話したりする際には、person-first language([障害ではなく]人を最初に示す言葉)を使用するよう奨励しています。

統合失調症 (Schizophrenia)

 

統合失調症を抱える人(Person living with Schizophrenia)

 

人は精神疾患によって定義されるわけではありません。

ルンドベックからの提案

 

精神疾患に関する認識を高め、スティグマを減らすためにお願いしたいこと。

 

スティグマを減らすための取り組みを実施するにあたり、実際に経験された方々と協働していきましょう

精神疾患による影響を最も理解しているのは、まさにその疾患を抱えている(抱えていた)方々です。実際に経験した方々こそ、疾患啓発活動やスティグマを減らす取り組みの中で中心的な役割を発揮することができ、その支援を受けるべきです。

 

メンタルヘルス関連のことについて話すときは、偏見を生むような言葉を使わないようにしましょう

精神疾患をとりまくスティグマの軽減は、率直かつ正直に話し合うことから始まります。精神疾患を抱える人と話をするとき、または精神疾患を抱える人について話すときはperson-first language(人を最初に示す言葉)で話すようにしましょう。

 

ルンドベックのコミットメント

ルンドベックは、「ブレインヘルス(脳の健康)」分野のリーダーとして、メンタルヘルスへの認識向上、啓発のための取り組みを支援し続けます。スティグマを根絶し、社会や政策を変えてくために。

 

ルンドベックでは、脳の健康と精神神経疾患にかかわるスティグマを排除し、常日頃から社会の中で話し合いが実現できるよう、協力して取り組みを進めています。このような取り組みには、世界脳週間や世界メンタルヘルスデーなど脳の健康を推進し、スティグマを減らするための世界的な啓発活動のほか、政策立案者や医療従事者、一般の方々を対象とする活動も行っていきます。

 

ルンドベックでは、脳の健康を取り戻すため、精神神経疾患による影響を受けている人たちを支援するため、「すべての人が最善の状態になれることを目指して、脳の健康を回復することにたゆまぬ努力をしていく」という明確な目的を指針として、事業活動、患者団体(アドボカシー団体)との活動、政策立案者や非政府組織との連携に努めていきます。

  1. World Health Organisation, World Mental Health Report: Transforming Mental Health for All 2021, page 37. Taken from the internet June 2023: https://www.who.int/publications/i/item/9789240049338
  2. World Health Organisation, World Mental Health Report: Transforming Mental Health for All 2021, page 53. Taken from the internet June 2023: https://www.who.int/publications/i/item/9789240049338
  3. Thornicroft, G., et.al, The Lancet Commission on ending stigma and discrimination in mental health.The Lancet (2022); 400: 1438-80, DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)01470-2
  4. Thornicroft, G., et.al, The Lancet Commission on ending stigma and discrimination in mental health.The Lancet (2022); 400: 1438-80, DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)01470-2
  5. Thornicroft G. Shunned: discrimination against people with mental illness.Oxford: Oxford University Press, 2006
  6. Corrigan PW, Watson AC. Understanding the impact of stigma on people with mental illness.World Psychiatry (2002); 1: 16-20, PMC1489832
  7. American Psychiatric Association. Stigma, Prejudice and Discrimination Against People with Mental Illness. Taken from the internet June 2023: https://www.psychiatry.org/patients-families/stigma-and-discrimination.
  8. World Health Organisation, World Mental Health Report: Transforming Mental Health for All 2021, page xvi. Taken from the internet June 2023: https://www.who.int/publications/i/item/978924004933813